女性活躍はどう進んでいるのか?
地方の中小企業の実態はあまり語られることがないなーって思います。
事例は、大企業や東京ばかり。
しかし、
地方の中小企業が実を持って、進んでいるケースもあるというのが、私の実感。

OKa-Bizにお越しいただいている飯田樹脂さんもその一つ。
( ↓ この日も新規事業のお打ち合わせで!)
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6割が女性の町工場


株式会社飯田樹脂さんは、間も無く、創業29年を迎える町工場。
 > http://www.iidajushi.co.jp/

樹脂切削加工を行う町工場で、自動車部品の下請けがメイン。
( ↓ こんな部品など!(飯田樹脂のHPより)
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この会社。
実は、全従業員14人のうち女性が8人・約6割。
うち5人が子育てママなのです!!
役員は現在5名。うち3名が女性!

飯田樹脂は、高い技術力を生かし、自動車部品の下請けとして、創業当初より順調に業績を伸ばしてきました。
そこで創業当初より、男女関係なく採用活動を実施。
親族や近隣の主婦なども積極的に採用してきたのです。



女性が活躍する職場整備・5つの特徴


これまでも叫ばれている通り、
制度は整っている。
でも、
実際の女性の活躍にはつながらない。
そのためには、
意識改革が必要だとか、
風土づくりが大切だとか、
と、私もよく女性活躍推進のために会議に出ると、よく聞きます。
でも、実際はどうしたいいのか?・・・お手上げ状態。

では、本当は、どうしたらいいのか?
飯田樹脂さんの取り組みは、まさに、ヒントがたくさんあります。

飯田樹脂で女性が活躍している、特徴的なポイントは5つのあるように思います。


1. 複数の工程が担当できる人材育成を重点実施
2. 担当制により責任ややりがいを生み出す仕事づくり
3.「お互い様」の風土づくり
4. 育児休業から復帰の後の柔軟な勤務形態の変更
5. 子どもの行事に合わせた休暇や短時間勤務の設定


1. 複数の工程が担当できる人材育成を重点実施(人材育成)
OJT研修に力を入れて実施をしているため、一人が複数の工程を担当できる。
そのため、メインの業務以外にも常に助っ人に入れるような体勢ができている。
急な休みにも対応できるシフトづくりが可能になっている。

2. 担当制により責任ややりがいのある仕事づくり(仕組み)
仕事は担当制を導入。
勤務形態に関係なく、全ての従業員に主担当が割り当てられている。
誰もが責任を持って仕事にあたるため、仕事への愛着ややりがいを持って従事をしている。

3.「お互い様」の風土づくり(風土)
また主担当の仕事に空きがある場合、手の空いている従業員は常に他の仕事のサポートには入ることが習慣化されている。
そのため、手伝う、手伝ってもらう関係性が既に出来上がっている。
誰かのサポートをするということに対しての抵抗感や不満は非常に低い。
また同様な境遇の人、境遇を乗り越えてきた人が多いため、「お互い様」の風土があり、不満が出づらい。

4. 育児休業から復帰の後の柔軟な勤務形態の変更(制度整備・運用)
本人の希望により、フルタイム勤務でなくパートタイム勤務を受け入れるなど、柔軟な受け入れ体制を確立している。
産休・育休明け、フルタイム勤務の復帰を希望していても、生活する中で、パートタイム勤務に変更したいという要望があれば、快く対応するなど、急な変更も柔軟に対応している。

5. 子どもの行事に合わせた休暇や短時間勤務の設定(制度整備・運用)
保育、授業参観の際の休暇取得など、事情に応じて有休以外に休みが取れるような柔軟な体制を整備している。
そのほかにも、それぞれの家庭事情に考慮し、営業日である祝祭日の出勤は選択制にしたり、予定に応じて2〜3時間の短時間での勤務を許可したりするなど、勤務については、非常に柔軟な対応をしている。


女性が活躍する5つのポイント


実際に、制度は整っている会社は多いのです。

だから、
きっと飯田樹脂の制度はそんなに他と違いはないのかもしれません。

しかしながら、運用においては、大きく違う。
飯田樹脂さん、そこまでするの?
っていうくらい、制度に縛られない柔軟な対応がなされています。

いやいや、とは言っても、
そんなことしたら、他の社員から不満が出るのではないか?
そんなに自由に仕事をさせたら、ズルしたりするのではないか?

私も、彼女たちに根掘り葉掘り聞いてみました。
すると、不思議そうな顔とともに、返ってきた言葉がこれ。

「私たち、仕事したいんで!!
 私たち、仕事大好きなんです!!!」

って〜 w(゚o゚)w オオー!
いや、ここポイント!!!!


まさに、
どうやって他の人からの不満を生まずに、「お互い様の風土」が出来上がるのか?

これね、やっぱり一番のキモは、誰もが区別なく主担当を持つ「担当制」だと私は思います。

1. 
そこから仕事への責任感ややりがいが生まれる。
みんなが、「仕事をやりたい」「仕事が楽しい」が大前提にある。
そしてそれが共有できているからこそ、「お互い様」の風土が成り立つし、不満が生まれない。
成り立っているんですよね。

2.
だから、サポートすることに抵抗がない。 
常に助け合うという態勢ができているから、誰かのサポートをすると仕事が増えるみたない感覚を抱かない。
だからそれが急に起こっても不満が生まれない。
お互い様が成り立っているんですよね。


ともすると、
育休明けや時短の女性には、軽い仕事で、責任ある仕事はさせない。
そんなこともよく聞きます。

しかし、
厚生労働省「平成 23 年版 働く女性の実情」(概要版)には、「働き続けるために必要なこと」として、こうあります。
 > http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/11gaiyou.pdf
(子どもを持ちながら働き続ける上で必要なこと〜モチベーション維持には、男女とも「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」や「やりがいが感じられる仕事の内容」
が必要)
子どもを持ちながら働き続ける上で必要なことについてみると、男女とも「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」や「やりがいが感じられる仕事の内容」、「働きぶりを上司や同僚に認められること」等の割合が高くなっている。


仕事をする上で、やりがい、責任ある仕事って大切なんです。
そしてそれは個人のモチベーションにもつながる。
それが、会社全体のよい風土や環境を作ることにもつながっているんですよね〜。


「2時間だけでも隙あれば働きに行きます!」


現在、2児の母である山本さん。
13年前に飯田樹脂に正社員として入社。
8年前に、妊娠をきっかけに退社。
その後、飯田樹脂からの要請を受け、1年前に幼稚園のお迎えなどを考慮してパートとして復帰。

別に仕事を探していたわけじゃないんです。
元々はこの仕事が好きだったんです〜!!
しかも、働くための柔軟な仕組みが整っているから、子育てと両立できるかも!!と感じて。
だから、復帰を決めました!

って、おっしゃってました!!
なんだか素敵じゃないですか?
飯田樹脂だから働くことを決めたって。

ちなみに、復帰をしてみて、どうだったのか?

担当として責任を任されるので、やりがいがあります。
だから積極的に仕事をしたいです!
仕事、大好き!

困難は感じないのか?

9時半の出社を認めてくれたり、また子どもの都合で2時間しか時間がなくても、2時間だけの出勤を認めてくれたり!
柔軟な働き方を認めてくれるため、責任を全うできます。
今、働けることが楽しいし、生き生きしています。



彼女がイキイキ話してくれて、その楽しさがとっても伝わってきました。


結果として誰もが活躍できる職場へ


これらの配慮は女性従業員に限らず、男性従業員にも、全社員に適応されています。
その結果、以前には、仕事と家庭を両立するシングルファザーも!!

女性だけでなく、結果として、誰もが働きやすく、そしてどんな人材も活かされる職場となっています。
でもそれが大事。
結局、政府が掲げる「女性活躍」って、女性だけが社会に出やすくなればいいって話じゃない。
これまで社会で労働弱者とされてきた人が、いかに戦力になってもらうかって話です。

そして、飯田樹脂さん、特に女性は辞める人が少ないですって。
「こういう職場他にはない。
 仕事にも情熱を感じられて、この職場を気に入って長く働いています〜!」
って、おっしゃる方が多いそうです。

人材不足で悩む地方中小企業が多い中で、どんな人でも働ける会社だからこそ、飯田樹脂さんはまさにそこをクリアされているわけです。


女性の感性を生かした事業展開までも生む


ちなみに、飯田樹脂さんでは、
「下請け仕事じゃ、彼女たちの想像力あふれる感性が活きない!
 もっとイキイキと仕事をして欲しいんだ!!」
って、社長。

そこで、彼女たちの感性を生かして、
結婚や子どもの成長などの残す自社製品・オーダーメイドのメモリアル製品を作っています。
ウェルカムボートとか、フォトフレーム、表札なども、これまでの高い技術力を生かして展開されています。
しかもこれが口コミでじわじわ〜っと広がっているんです!!

ちなみに、新製品は、子どもの写真までも入れられる身長計!!
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事業を伸ばすためには、まず人を生かせる会社のか?


地方の中小企業はリアルだなーって思います。
労働不足問題は、リアルに深刻。
そんな中でも、女性を積極的に雇用しているかどうかは、二極化しています。

人材不足に悩んだ時、
まだ雇用の進んでいない女性を始めとする社会的弱者をどう生かせるのか、活躍してもらえるのかは一つのポイント。

地方中小企業の中には、
障がい者が高齢者を多く雇用し、うまく活躍していただくことで、さらに事業を伸ばしている企業もあります。

これまで生かされてこなかった人材に、しっかりと活躍してもらうことで、人材不足の課題を確実に解決し、会社のパフォーマンスを維持する、または伸ばしていくことが可能になる。

飯田樹脂さんのお話を聞きながら、まさに、そんなことを感じるのです。

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