一昨日、大恩師の訃報が届きました。
中学の校長先生。
私の大大大恩師です。

中学にほとんど行かなかったタカシマですが、その時の記憶は鮮明で、葛藤や経験は何よりも代えがたいものです。
大変いろんな先生のお世話になりました。ご迷惑をおかけしました。
もちろん校長先生にも、とってもとってもご迷惑をおかけしました。

中学1年の春に学校へ行かなくなりました。
中学3年夏休みに、高校進学を決めました。
大学に行きたいから。高校には行かなくては・・・。
その思いで、夏休み明けから、中学校に復帰をしました。
内申点がなければ高校受験は出来ないから。
私にとって、中学に行く、明確な理由でした。

もちろん、めざしたのは公立高校。
2、3学期は1日も休まない。
遅刻も早退もしない。

・・・でも、もう遅かったんです。
1学期を過ごしていないタカシマの内申点が上がるわけはありません。
中学3年間、出席日数が足りていないタカシマが高校受験が出来るわけがありません。

でも、夏休みから、他の受験生と同じように受験勉強を一生懸命しました。
だから、その実力を試したかった。
内申点はない。
でも、受験勉強の自分の成果として、公立高校を受け、試験の点数だけでも出したかった。
自分がどのくらい出来るのか、知りたかった。

公立高校の受験がしたい。
ただただ、それだけ。
受けた私立高校は2校、合格が出ていました。
でも、公立高校の受験がしたい。

多くの先生は、
必ず落ちるとわかっている高校を受けさせることは出来ない。
100%落ちるとわかっていても、必ずショックを受ける。
そんなみじめな思いはさせてはいけない。
だから、絶対にダメ。
私は受けるの一点張り。
何度も何度も、両親と学校とのやりとりが続いたそうです。


最後の最後に、母親が校長先生のところにお願いに行ったそうです。
母にとっても校長先生は恩師。中学の担任の先生。

娘に高校受験をさせてやってください。
その時校長先生は、ダメだと一言、言ったそうです。
受けさせることはできない。
君は母親なのに娘のことを本当に考えているのか?・・・と。
母が真剣に
娘がこんなに一生懸命受験勉強をしてきた。
こんなにも受けたいと言っている。結果が知りたいだけなんです。
受からないことは分かっている。でも私が責任を取るから、受けさせてほしい。
・・・と。

校長先生は、
受けさせるということは、出席日数が足りていない子を卒業させるということを公表するということです。
学校の責任問題です。
母は、ただ、
ご迷惑をおかけします。と頭を下げたそうです。

それを聞いた校長先生は、
わかりました。私がすべて責任を取ります。
思う存分、受けさせてあげなさい。
と。



この秘話を聞いたのは、高校に入学してからのことでした。
私は、公立高校に見事落ちました。
しかしながら、とっても恵まれた高校に入学することができ、大学にも進学をすることができました。
たくさんの先生にご迷惑をかけ、たくさんの先生にお世話になり、今の自分があることを本当に感謝しています。



その後も、校長先生にはたびたびお会いしました。
どまつりの実行委員長をしたときは、先生にいろいろとお知恵を借りに伺いました。
とってもお世話になりました。
その時に、とっても嬉しそうに、タカシマの話を聞いてくれ、いろんなことをアドバイスしてくれ、いろんな人に自慢げに私のことを紹介してくれたことを、今でも鮮明に覚えています。

その時に、
今でも忘れない、私の教訓を教えてくださったのも、校長先生です。
技術の先生だった校長先生は、こう話してくれました。



 タカシマさん、
 抵抗は大きければ大きいほど、電気は明るく輝く。
 人生も電気の回路と一緒。
 苦労をすれば、するほど、
 回り道をすればするほど、
 人生はより輝くモノになる。
 決して、アナタは、無駄な道を歩んでいるんじゃない。
 人生に遠回りなんてないんだよ。
 人生に無駄な道なんてないんだよ。
                                」


人生に無駄な努力なんてない。
だからコツコツがんばろう。
きっと必ずその努力が実る日が来る。


校長先生には恩返しをすることも出来ず、
最近はもっぱら疎遠だったことに大変申し訳なく一杯です。

いつか、校長先生をはじめ多くの先生にお世話になったことを恩返しできるよう、精一杯努力をし、精一杯輝けるように、これからも日々、日々、精進していきたいと思います。


小久保校長先生のご冥福を、心からお祈りしています。